
イエス・キリストの神(三位一体の神についての省察)教皇ベネディクト16世
Der Gott Jesu Christi Betrachtungen über den Dreieinigen Gott.
Wieder kann man von hier versuchen, ahnend etwas über Gottes inneres Geheimnis zu sagen: Vater und Sohnsind die Bewegung reinen Schenkens, reiner Übergabe an- einander In dieser Bewegung sind sie fruchtbar, und ihre Fruchtbarkeit ist ihre Einheit, ihr völliges Einssein, ohne daß sie dabei selbst zurückgenommen und ineinander aufgelöst werden. Für uns Menschen heißt Schenken, Sichselbergeben, immer auch Kreuz.(Das trinitarische Ge- heimnis übersetzt sich in der Welt in ein Kreuzesgeheim- nis: Dort ist die Fruchtbarkeit, aus der der Heilige Geist kommt.
和訳:ここで再び、神の内なる神秘について、おぼろげながらに語ることができます。父と子は、お互いに純粋に与え合い、純粋に引き渡し合う運動です。この動きの中で、両者は実り豊かであり、その実り豊かさとは、互いに引き取られ、溶け合うことのない両者の「一つ」、完全な「一つ」なのです。
私たち人間にとって、自己を捧げることは常に十字架を意味します(三位一体の神秘は、この世では十字架の神秘に翻訳されなければなりません:そこには聖霊が臨む実りがあるのです)。
特徴
この文章では、「Gottes inneres Geheimnis」(神の内なる秘密)について言及されていますが、その特徴的な部分は主に宗教哲学的な要素が含まれています。
・ 「Vater und Sohn sind die Bewegung reinen Schenkens, reiner Übergabe aneinander.」:個別の言葉や概念についての哲学的な議論や分析を含んでいます。ここで示されている親子関係と相互の贈り物のイメージは、神の存在や本性についての考え方を表しています。
・ 「In dieser Bewegung sind sie fruchtbar, und ihre Fruchtbarkeit ist ihre Einheit, ihr völliges Einssein, ohne daß sie dabei selbst zurückgenommen und ineinander aufgelöst werden.」:この文は、神の三位一体の性質に関する議論を示しています。神の存在が豊かさとして表され、そしてその豊かさが三位一体の一体性と関連していることが述べられています。
・「Für uns Menschen bedeutet Hingabe, Selbsthingabe, immer auch Kreuz (Das trinitarische Geheimnis übersetzt sich in der Welt in ein Kreuzesgeheimnis: Dort ist die Fruchtbarkeit, aus dem der Heilige Geist kommt).」:神の三位一体を人間の経験や信仰の中で解釈する際に、十字架のイメージや聖霊の概念は、宗教哲学や神学で頻繁に論じられる主題でありますが、ここでもそれが示されています。
ベネディクトベネディクト16世の文章の特徴として、彼の文章は非常に哲学的であり、深い思考を示しています。彼は宗教的なテーマを扱い、神秘的な概念を表現しています。 文章は簡潔ですが、密度があり、一文一文が多くの意味を含んでいます。彼の文体は厳格であり、特定の概念を明確に伝えるために使用されています。ベネディクト16世は時々、対話形式を使用していて、読者との対話を想定して思想を解説する。この対話形式が唯一の遠い存在である「教皇」の一面的な人格を表すことになるのかもしれない。彼の文章は、理性的な議論と信仰的な哲学の融合を示しています。特に彼は「信仰」と「理性」が両立可能であることを示すために、倫理的な議論を使用してる。彼は複雑な神学的な概念を一般の読者にも理解しやすく伝えることに重点を置いているように思えます。
要約
ベネディクト16世による、読者との「三位一体の秘密」を理解しようとする試みが述べられています。父と子は純粋な与え合う動きであり、互いに「完全な献身」の働きにあるとされています。この働きにおいて彼らは実り豊かであり、その実り豊かさが「彼らの」統一であり、完全な一体感(一つ)であるとされています。しかしその過程で彼ら自身が取り消されたり、互いに融解したりすることはないとも述べられています。また、人間にとって与えること、自己を捧げることは常に十字架とも関連しているとされています。この三位一体の秘密は、世界においても十字架の秘密として現れます。そして、十字架の中には聖霊による実り豊かさがあるという説明になっています。
「哲学的な文章と日常的な文章との違い」
哲学的な文章とは何か、一面的でありながらも簡潔に述べると、ソクラテスがフィロソフィア(知を愛する=哲学)という言葉を定着させたことは有名ですが、一般的に思考や哲学的な概念に関連するテーマを探求し、深い洞察を提供することなどがあげられます。これらの文章には論理的な推論が含まれていたりします。現教皇である、フランシスコ教皇や前任のベネディクト16世も、哲学的な要素を含んでいると言えます。彼らが掘り下げる概念は、信仰、永遠のいのち、最後の審判、愛のおきて、神との関係など、存在と宗教に関する考察を含んでいます。一方、日常的な言葉の説明を行う場合は、より具体的で簡潔な説明が必要となるでしょう。例えば、「Hingabe」や「Selbsthingabe」はドイツ語で「献身」や「自己への献身」を意味する言葉ですが、これらの言葉の意味を説明する際には、具体的な例や状況を用いてより理解しやすい説明が求められることがあります。例えば、「Für uns Menschen bedeutet Hingabe, Selbsthingabe, immer auch Kreuz (Das trinitarische Geheimnis übersetzt sich in der Welt in ein Kreuzesgeheimnis: Dort ist die Fruchtbarkeit, aus dem der Heilige Geist kommt).」の原文を、より日常用語として示すとしたら、
「In unserem menschlichen Verständnis bedeutet Hingabe immer auch Opfer (Das Geheimnis der Dreifaltigkeit offenbart sich in der Welt als das Geheimnis des Kreuzes: Hier liegt die Fruchtbarkeit, aus der der Heilige Geist entspringt)」私たち人間の理解では、献身は常に犠牲も意味します。(三位一体の神秘は、十字架の神秘としてこの世に啓示されることになる)
「In unserem menschlichen Verständnis bedeutet Hingabe immer auch Opfer」というのは、人間が真の献身を示す際には、常に何らかの犠牲を伴う(例えば、時間や快適さ)必要があるという考えに即した翻訳で、「自己を捧げると言うこと」ということについて哲学的考察というより、日常寄りの表し方にしています。
最後に、再度、原文に戻ると
原文:Für uns Menschen heißt Schenken, Sichselbergeben, immer auch Kreuz.(Das trinitarische Ge- heimnis übersetzt sich in der Welt in ein Kreuzesgeheim- nis: Dort ist die Fruchtbarkeit, aus der der Heilige Geist kommt.
何故、derderが2回続くのかというと、1回目の「aus der」は、直訳すると「… から出てくる」という意味です。この文脈では、「der Fruchtbarkeit」(豊かさ)から「der Heilige Geist」(聖霊)が出てくることを表現しています。2回目の「der Heilige Geist kommt」は、定冠詞の「der」と、名詞の「Heilige Geist」から成り立っています。これは、聖霊が来ることを示しています。三位一体の神秘がそれぞれ異なる性質を持ち、しかも密接に関連しています。
例えばderderを使わないで書くとしたら、
Für uns Menschen bedeutet Hingabe, Selbsthingabe, immer auch Kreuz (Das trinitarische Geheimnis übersetzt sich in der Welt in ein Kreuzesgeheimnis: Dort ist die Fruchtbarkeit, aus dem der Heilige Geist kommt.(*「Schenken」と「Sichselbergeben」を「Hingabe」と「Selbsthingabe」に変えることで文脈に一貫性を保っている)
これは試訳ですので、指摘がありましたらよろしくお願いします。
前回に続き、カイエというメモ的なページを掲載することにしました。
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