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庭のマルグリット・ガシェ(1890年頃) |
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悲しみの女(1882年) |
残念ながら、私が行ったゴッホ展ではマルグリット・ガシェはなかった。彼が晩年に恋をしたと言われるマルグリットは、担当医だったポール・ガシェの娘である。この二人は今度の映画(ゴッホ・最期の手紙)で登場するので、楽しみですね。マルグリット役は、シアーシャ・ローナンなので更に楽しみなところです。
私が見れたのは、この娼婦の素描ですね。1882年、ゴッホ29歳の頃のものでゴッホはこの身寄りがない妊婦の面倒を見て関係を持つ。ゴッホはデッサン力が無いように思われますが、素描を見るとそこまで無いわけではありません。パブロ・ピカソの少年時代の素描を天才とするのなら、ゴッホの素描の評価は分かれるところですけれど、昔関係を持った女性の素描は、晩年に描いたマルグリットよりも意識が鮮明だったように思える。マルグリットに関してはピアノを弾いている姿と、この絵画しか知りませんが、特にこの絵画のときにゴッホの女性への愛し方が変化したように思えます。見ているのは女性の身体ではなく、別の視点というのか、プラトニックなものを感じさせます。「庭のマルグリット・ガシェ」は目立つところがないとか、下手と言ってしまえばそれまでなのですが、より印象に近づいたとも言えますし、愛の変化なのか、病の進行によるものなのか、色々想像力を掻き立てますね。いつか本物を見てみたいです。
マルグリットとの関係は実際どうだったのかは分かりませんが、ゴッホは愛していたようです。けれども、マルグリットの父、ポール・ガシェはゴッホに親切でしたが、その愛に関しては受け入れませんでした。彼女と結ばれる見込みが無かったことはゴッホの自殺の原因の一つと言われています。